イベントEVENT
次世代委員会 情報発信事業
大洞岐協苑
週休3日制の導入について
取材先担当者 長谷部施設長
取材者 次世代委員会 中島委員(コート・スマイル)
―――週休3日制を導入したきっかけを教えてください。
きっかけとしては、事務局から職員にどういう働き方がいいか尋ねたところ、「休みが多いといいな」という声があったからです。
―――もともとの年間休日は何日でしたか?
年度で変わってきますが、118日~120日です。
―――この話は何年度頃に出ましたか?
平成30年度です。特養増床と施設の新設を申し込んでいる時期で、職員の確保が必要になり、今の状況のまま職員募集をかけるのは難しいのではないかと。職員からもいろいろな働き方の希望や要望も上がってきていたので、検討することにしました。そこでいろいろな施設の取り組みを参考にさせていただきながら、まずは各事業所代表の委員を作りました。
―――週休3日制に向けた委員会を立ち上げたんですね。
週休3日制ありきではなく、働き方改革に向けた分科会を立ち上げ、いろんな意見を出してもらいました。その時、法人内で10事業ほどあったので、各事業所から1人ずつぐらい出てもらっていました。委員会では、業務のどこにムラがあるのか見直しをしました。
―――導入した職種について教えてください。
主に介護と看護の2種類です。機能訓練、栄養相談、管理職や事務職は8時間勤務で日数が多いほうが仕事の適性に合うと思ったので導入を見送りました。
あと、10時間勤務は平日に分散して休みが多くなり、今まで不要だった時間帯に人が配置されることになるので、おそらく人材不足のような感覚が生まれてしまう。休みは多いけど、人材不足で人を増やさなければいけない状況になりかねないので。介護、看護以外は今までの働き方でノウハウを継続させてもらうかたちになっています。
―――実際、介護と看護に導入されて、どういったシフト形態になりましたか。
介護は7時30分から18時と11時から22時、夜勤は21時45分から翌日8時45分まで。看護師は、8時から19時までになりました。
―――週休3日制は希望制になるんですか?
大洞岐協苑では看護職員のみ導入、第2大洞岐協苑では介護看護共に導入し、事業所の選択制になります。
―――週休3日制をスタートして、既存の職員が10時間勤務となると苦慮したこともあったのではないでしょうか。
間休憩をしっかり確保することは苦慮しました。特に夕方頃の休憩時間の確保はかなり意識してとるようにしています。15分以上の休憩はしっかりとってもらうようにしています。
―――看護師の8時から19時の勤務について、長いなど否定的な意見は出なかったですか。
特になかったですね。看護師については確実にオフの日にちが週に3日あり、業務中に動く量も少ないので、体力的な負担は10時間勤務となってもそんなに関係はなかったですね。それよりも休みが1日増えるというメリットのほうが大きかったようです。
介護、特に夜勤明けはどうしても残らざるを得ないことも少しはありますね。
以前は夕食後の吸引時や体調不良時に看護師がいないという不安が常に介護にはあったんですが、毎日確実に19時までは看護職員が配置できているので安心感やゆとりが生まれました。以前は看護師が不在によることで医療ニーズに応えられないこともありましたが、今は受け入れもできるようになりました。
―――看護師の求人募集はどうでしたか。
以前は本当に苦労しましたが、週休3日制導入により応募が多くありました。
―――では、週休3日制を導入して介護職員の反応はどうでしたか。喜びの声などありましたら教えてください。
導入後、職員にアンケートを行ったところ、満足しているという意見が多かったです。プライベートの時間が増えたことは非常に喜んでもらえました。長時間勤務は体力的にきついとの声もありましたけどね。
夜勤が短いから体力的に楽になったという声が一番大きかったです。20時出勤は日中にかなりゆとりもできますし。夜勤の負担軽減や拘束時間に関してはかなり喜ばれていると思います。
あと、10時間勤務は年間の労働時間が8時間の方より120時間ほど多くなります。そのため8時間勤務の方とのバランスや整合性を保つために特殊勤務手当がつきます。
―――年間休日と有給を使うと、休みが170日という方もみえるんですね。有給も1日10時間ですか。
有給も10時間になります。もちろん計画有給も8時間勤務と同じく5日間あります。
―――なるほど。
介護職員は慢性的な人手不足はあると思うんですが、応募の選択があることで求人も前よりは上手くいったということですね。
令和2年に20人以上職員を確保できたのは、こういう働き方の選択というインパクトもあったからかなと思います。実際、10時間勤務を希望されての応募が多かったですね。しかしそれ以降継続して介護職員がしっかり確保できているかというと厳しいところもあります。一定の数の退職もありますし、慢性的にはやはり不足してますね。
―――実際10時間勤務となった時に、働く職員は年齢的に若い職員が多かったですか。
それは関係なかったですね。看護師だと全員50代以上ですし、介護の方も20代から60代までそれぞれ均等な年齢構成になっています。
―――定年は何歳ですか。
定年は60歳で、待遇は変わりますが継続雇用で70歳まで働いてもらっています。60歳で嘱託職員として雇用することで月給希望の方をターゲットにすることもできました。
―――なるほど。週休3日制の導入や再雇用の見直しで新たな職員の確保と離職者を減らすことに成功したのですね。とても貴重な話をありがとうございました。